68(連載中)
「食事をつけるサービス?」
みんなが揃って食事を始めたとき、エドワードは、五分程度経って、話を切り出した。
「どういうこと?」
「今は線香一本いくら、だけどさ、それとは別に食事をあり、なしのサービスをつけるのはどうかなって思って。もちろん食事代分少しだけ上乗せになるけど、せいぜい500センズくらい」
エドワードの提案に、彼女たちは少しだけざわつく。
「いいサービスだと思うけど、なんで?」
「うーん。そりゃ姉ちゃん達と気持ちいいことしたいだけのお客さんも多いと思うんだけど、ただ綺麗なお姉さんと穏やかに過ごしたい人もいるんじゃないかな、って思ったんだ。家のご飯以外食べたい人もいるだろうし」
「料理は誰が作るの?」
「俺。ちなみに出す食事は今姉ちゃん達が食べてる料理に毛が生えたようなもんだけど」
「……それだと、金持ちのお客さんは満足しないんじゃ?」
彼らはきっと普段豪勢な食事をしているだろう。今俺たちが食べてる精進料理みたいなものじゃない。
「だから、料理がいるかどうかは、あくまでオプション。いらない人はそのままでいいし。欲しい人は少しお金を払うといい」
「ああ、なるほど」
姉ちゃん達から、納得の声が上がる。一人の姉ちゃんが手を上げて発言した。
「つまりこういうことね? エドはこのサービス、金持ちの客とターゲットにはしてないのね?」
セルシア姉ちゃんは相変わらず頭がいい。頷くと、納得いったとばかりに口元に手を当てた。
「俺がターゲットにしてるのは、マリア姉ちゃんのところに来るナジェイルさんみたいな人かな」
「えっ……!」
いきなり名指しされて、マリア姉ちゃんに視線が集まる。彼女はなぜか真っ赤になって慌てていた。
「ナジェイルさん。毎月一ヶ月貯めたなけなしのお金持って月末に来るだろ? 多分あれ、姉ちゃんと会いたいだけなんだと思うんだよな。だから、食事だけするサービスもしようかなと思って。もちろん時間は短いし、食事もたいしたことないから料金は安い。一晩買う金はなくても、一緒に食事する金くらいはある人もいるだろうし」
もちろん、これは副業みたいな物で、メインはあくまで一晩の料金だ。食事だけではたいしたお金にもならないし、やっていけるとは思えない。料理人がいれば別だが、雇う金はない。
だけど、この仕事を入れることで、体調が余りよくなくて店に出られない女性でも、食事だけならお相手することが出来るし、客の裾野が広がる。
ピナコばっちゃんはよく言っていた。お客さんを癒すのがこの店の仕事なのだと。それは夜を友にするだけではない。ただ、一緒にいるだけでも食事するだけでも、添い寝するだけでも、安心して眠れたと、言いながら帰ってくれるならそれが一番なのではないかと。
目の下に隈を作って俺の隣で寝ているロイを見る度に、そう思っていた。
俺がこいつの隣で寝るだけで心が穏やかになるように、ただ話しているだけで気持ちが軽くなる人もいるんじゃないか。
ロイのことは省いてそう説明する。
彼女たちにとっても悪い話ではない。仕事が入らずごろごろしているよりは、例え単価が安くてもお客さんがいた方が、彼女たちの給料にも直結する。しかもご飯を食べるお客さんの話を聞くだけ。そう苦にはならない。
それが分かったのだろう、姉ちゃん達はみんな、笑いながら賛成、と言ってくれた。
ほっと胸を撫で下ろす俺に一言。
「でも、ハクロどうするの?」
と、不安な言葉を投げてくれたが。
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(終わり)
